業界紹介と就活

【業界紹介】通信建設業界|光回線の仕組み・技術・早期開通のポイントを解説

✔️固定回線を使用しているけど仕組みがいまいち理解できていない。

✔️フレッツ光やNURO光などいろいろな事業者があるけど違いはなに?

✔️具体的に光回線工事はどうやって施工しているの?

こんな疑問に答えます。

光回線の仕組みや伝送路についての技術的な部分をまとめています。

※記事を作成するにあたり、一般的に公開されている情報を元に作成を行っており、情報元については各種、出典やリンクを結んでいますが万が一企業の守秘義務には違反する情報があれば修正いたしますのでご連絡下さい。

光回線の仕組み

光回線の仕組みは2種類あり、光ファイバーケーブルまたはVDSLを利用するかでパターンが分かれます。

物理媒体が光ファイバーの場合|FTTH

光ファイバーケーブルで局間〜居住者の部屋までの区間を全て光ファイバーケーブルで構成されている設備の場合をいいます。(速度は最大1Gbps)

物理媒体が光ファイバー+LANケーブルの場合|VDSL

局間〜MDFまたはIDFまでが光ファイバーで引き込みをされており、MDFまたはIDFから居住者の部屋まではLANケーブルで構成されている設備のことをいいます。光ファイバーケーブルのみの設備と違いは速度が低いことです。(最大100Mbps)

光回線の施工方法について

集合住宅と戸建てによって施工方法が若干変わります。具体的には物理的ケーブルを宅内まで引き込む行為は同じですが集合住宅と戸建てで経路が違います。

NTT責任分解点

NTTと通信事業者・工事業者の責任分解点と呼ばれるものがあります。NTTは戸建ての場合はクロージャーからMDF・光キャビネットまでの伝送路区間に責任を持ちMDF・光キャビネットから回線終端装置(ONU)間までは通信事業者・工事業者の責任になります。

例えばNURO光はNTT工事+NURO工事+開通工事と伝送路区間の工事をNTTと調整する必要があるために工事の期間が長くなる傾向があります。

フレッツ光だとNTT工事で一気に開通まで可能(間に別業者が挟まない)なためNURO光と比較して工事の期間は短期間になります。

▶︎NTT責任分解点の参考リンク

集合住宅の場合の光回線の引き込み

集合住宅の場合はクロージャーと呼ばれる光ファイバーケーブルが収納されている箱からマンション内のMDF室などに引き込みます。

引き込んだのちNTT設備(スプリッタ)が設置してあるのでMDFのNTT設備から光ケーブルを挿して宅内配管を通り各居住者の部屋まで

光ファイバーケーブルを伸ばします。回線終端装置(ONU)を設置するために光コンセントを置いてジャンパーケーブルでONUと光コンセント間を接続します。

光ファイバーケーブル引き込みからONUまでの作業をNTTなどの通信事業者が作業し、ONUから先をお客さんが実施します。

NURO光の場合はNTT設備のスプリッタからさらにNURO光のスプリッタを使用して分岐数を増やしています。

戸建ての場合の光回線の引き込み

戸建ての場合も同様でクロージャーと呼ばれる光ファイバーケーブルが収納されている箱から家の外壁まで光ケーブルを引き込みます。

引き込みを行うときに配線固定するために引き留め金具や光キャビネットなどの器具を取り付ける必要があります。電話線用の配管ルートを通して光コンセントを取り付け光ファイバーケーブルを引き伸ばした後、回線終端装置(ONU)を設置します。

電話線用の配管ルートがない場合はエアコンダクトを使用したり、壁に穴を開けて物理的に通します。(壁に穴あけは最終手段)

以降は集合住宅の場合と流れは同じになります。

集合住宅及び戸建て共に最終的にはWi-Fiルーターを設置するので電波が部屋に行き渡るように部屋の中心に置くことが無難です。

NURO光も同様で外壁の光キャビネットで責任分解点を分けています。

▶︎NTTフレッツ光の施工方法の参考リンク

▶︎NURO光の施工方法の参考リンク

光回線が物理的に配線ができない場合

物理的に配線を行うため、建物状況によってはケーブル配線ができずに提供ができないということもあります。提供ができない場合においてどうすれば解決できるかを大まかに分類してみます。

配線ルートを新設する

配線ルートが存在せずに物理的に引き込みができないパターンです。この場合には配線ルートを新規作成をすれば光ファイバーケーブルが通線ができるので提供可能になります。

配線ルートの新設箇所は建物の外壁に沿う場合はもちろん、天井や宅内配管まで多岐に渡るのでただ配線ルートを作るといっても奥が深いです。

新設に伴う作業は基本的には通信施工業者では対応できないので、工務店などから見積もりをとって作成します。

配線ルートが満菅・配管詰まりを解消する

既存の配管に別の配線がたくさん敷設されており、新しく光ファイバーケーブルが引き込みができないパターン。

この場合も、配線ルートを新設するか、既存の配線を撤去して配管の隙間を確保することになります。既存撤去は敷居が高く99%実施しません。

配管状況によっては配管内が錆び付いていることがあり、通線器具が挿入できないこともあります。

MDF・IDFに配線スペースを設ける

集合住宅向けのサービスに場合にMDFまたはIDFに配線するスペースがないパターンです。

配線をしたくても中身がぐちゃぐちゃすぎて触れない。通信ケーブルなので、下手に触ると通信障害が発生するなんてリスクもあるので作業ができません。

物理的な施工方法としてプラスチックのBOXなどを設置して無理やりスペースを作成して光ファイバーケーブル及び付随する設備を設置します。

物件の設備を修繕する

集合住宅向けのサービスの場合にMDFまたはIDFの扉が開かない、修理する必要があり作業できないというパターンです。

建物の修繕は管理費用を元に理事会、総会、組合などを通して行い物理的配線が可能な環境になった上で光ファイバーケーブルを引き込みます。

大規模な建物になると地下ピットが存在し、この地下ピットの蓋が開かないなんてこともあります。

光回線を導入するための承諾許可について

当然、建物に設備や光ファイバーケーブルを物理的に引き込むので許可が必要になっていきます。その許可の種類について説明します。

戸建ての場合は世帯主の許可を得る

戸建ての建物はすごくシンプルで世帯主の許可があれば、工事ができます。

集合住宅の場合は組合・理事会・総会・管理会社などで許可を得る

集合住宅は自分ひとりが光回線を導入したくても一存で決定することはできません。必ず、組合・理事会・総会・管理会社など、集合住宅全体で「導入する」という方向性を一致させなければなりません。

理事会なら数ヶ月に一回、総会なら一年に一回ほどの開催ペースなので、このタイミングを逃せば導入する判断ができずいつまで経っても光回線を利用することができません。

そのため「承諾」という行為は光回線を導入するにあたりとても大切な要素になります。

光回線を少しでもスムーズに導入するためにはどうすればいいか

光回線はその特性上、無線通信と異なり、即時開通できるものではなく、ひと月ふた月とある程度の期間を見ておく必要があります。少しでもスムーズに開通するためのポイントを紹介します。

物理的な配線ができるように環境を整えてあげる

光回線は「物理的にケーブル」を引き込めるかが施工の全てです。そのため、少しでも環境を整えてあげることが早期開通に繋がります。

具体的には部屋をきれいにする、理不尽をしない、物の移動などを協力的に行うです。

施工会社は基本的には顧客の所持品を触れません。許可があってもトラブルを避けるために顧客にお願いするようになっているはずです。

そのときに顧客が拒否をすると当然、光ファイバーケーブルを通せないということになるので工事が止まります。

承諾を確実に押さえる

集合住宅向けになりますが導入承諾をきっちり押さえていないとトラブルの元になり工事がいつまでたっても動けないので関係各所に連絡及び許可を確実に押さえることが大切です。

光回線工事にあたり必要な道具

最後に、光回線工事にあたり必要な道具をピックアップします。内容がマニア向けですので興味のある方のみご覧ください。

スチール 入線専用ワイヤー 通線工具

通線工具で配管に通して通線状況を確認するために使用します。

シリコンスプレー 通線剤

スチールの滑りを良くするために使用します。

クレトップ 清掃器具

光ファイバーケーブルの端面を清掃するときに使用します。

光パワーメータ 測定器

通線した光ファイバーケーブルの受光値が適正かどうかを確認するための道具です。

工事現場用の屏風

ハンドホールやマンホール、地下ピットなど第三者が転落事故をしないように設置します。

カラーコーン 

作業区画を第三者に明示するために使用します。

トラバー 

カラーコーンを組み合わせて使用します。