業界紹介と就活

【業界紹介】通信建設業界の作業内容を解説

✔️就職活動をしていて業界情報をしりたい・・・

✔️通信建設業界ってどんな業界?

✔️身近にある通信設備ってどうやってできてるの?

そんな疑問について答えます。

運営者が通信建設業界に勤めた経験談をもとに「通信建設業界」ってこんな業界だよということを紹介します。

長くなるので何回かに分けていますがこの記事では「通信建設業界」とその「作業内容」についてまとめています。

※記事を作成するにあたり、一般的に公開されている情報を元に作成を行っており、情報元については各種、出典やリンクを結んでいますが万が一企業の守秘義務には違反する情報があれば修正いたしますのでご連絡下さい。

通信建設業界とは

インターネットがつながってYouTubeなどの映像やWebにアクセスしサービスを受けることができているのは通信網があるからです。通信網にサービスが乗って提供されています。この通信網を保有している会社が通信キャリアと呼ばれるものです。

※キャリア(Carrier)には運搬や輸送を意味があり通信を運搬、輸送するところから通信キャリアと呼ばれています。

山の上にある鉄塔や通信設備室の作成、通信ケーブルの敷設、個人、法人とありとあらゆるところに通信設備は身近に存在しています。とても通信キャリア単体では整備しきれません。

このような物理的な通信設備工事を請け負う業界が「通信建設業界」になります。イメージとしては下記のようなかたちです。

✔️道路を使用→サービス・コンテンツ会社

✔️道路を保有と提供→通信キャリア会社

✔️道路を作る→通信建設会社

特に固定通信を保有や整備をするためには莫大な金額を投資する必要があるので他業者の参入の難易度は極めて高く市場は独占状態になりがちです。

通信建設業界の主な取引先

通信建設業界の主な取引先は通信キャリアです。具体的にはWikipediaに記載されている通信キャリア(電気通信事業者)から仕事を請け負うようなかたちになり大きく分類すると下記の通りになります。

✔️NTTグループ

✔️SoftBankグループ

✔️KDDIグループ

✔️その他のグループ

上三つはなんとなく理解できますが、その他のグループとして鉄道会社や電力会社も自社で通信網を保有しており、メーカーではSONYが通信網を持っています。

またそれ以外にも、建設業や通信業の強みを生かして公共工事やシステム開発などの仕事をやっていたりします。その場合は、取引先は役所、メーカーなどになります。

通信建設業と一般的な建設業との違い

✔️設備事故が発生した場合に影響が大きい

✔️他の建設業と比較して工事規模が小さい

通信設備というインフラを触るため、事故が発生した際の影響範囲が大きいです。新規で設備工事を行うなら、使用されていない設備なので設備事故が発生してもユーザーの影響はありませんが増設工事や撤去工事などの場合はユーザー(利用者)がぶら下がっています。

その場合に事故が発生した場合、ひとりふたりのレベルではなく何千人、何万人規模で影響が出たりすることがあります。例:SoftBankで発生した設備障害事故の影響範囲についての報道を紹介します。

また、建築物を0から作るのではなく、既存の建物に通信設備を導入するかたちが多いので作業の規模感が土木関係と比較すると小さいです。

通信建設業界の主な会社

これらの会社が通信建設業界の上位三社になり、それぞれグループ会社が紐づいています。どの会社がどのグループに属しているかは各社のHPで確認することができます。

通信建設業界の市場規模

市場規模を知ることで業界の伸びしろを予想することができ簡単な確認方法は上位三社の売上高を確認してみることです。

業界が狭く通信建設業界の仕事をするとなると大部分はこの三社及びそのグループ企業に仕事を依頼することになるのでおおよその市場規模感を掴むことができます。

2019年3月期の売上高(工事完成高)を三社確認してみると下記の通り合計1兆2750億円の売上高(工事完成高)になります。

✔️日本コムシスグループ・・・約4,800億円

✔️協和エクシオグループ・・・約4,200億円

✔️ミライトグループ・・・・・約3,750億円

一方で実際に通信キャリアの設備投資金額は約8,000億円でこのことから通信キャリアの設備投資金額がそのまま通信建設業界の市場規模になっていることがわかります。

通信キャリアの設備投信金額については抑制傾向を脱した通信事業者の設備投資、拡大するモバイル系通建投資の記事を参考にしてください。

通信建設業界の作業内容|元請け

工事をするためには「工事を指揮監督する人」と「実際に作業する人」に分けることができます。

一般的な建設業と同じです。なぜ、指揮する人と作業する人が分かれているかというと役割がそれぞれ大きく異なり切り分けをしないと仕事が進まないからです。

現場の作業を9:00〜17:00まで作業して、作業完了後に現場の材料を注文したり、次の案件の準備、工事進捗の確認、客先との打合わせ、金計算など時間がいくらあっても足りません。

工事を指揮監督するためには下記の三つを管理をすることが必須です。

✔️人の管理

✔️物の管理

✔️金の管理

基本的に現場作業はせず、お金の計算や現場巡回、工程管理、進捗管理、作業員の安全確保などを行いこれらの仕事をまとめて「施工管理」といいます。

人の管理

現場作業を基本的にしないため、作業を下請に指示を出すことになります。業務内容や業者によって作業可否の確認、請負金額、作業品質、速さ、安全、作業班の人数などを基準に外注契約を行い作業をする「」を確保します。

物の管理

」が確保できても材料がなければ成果物が作れません。そのため材料をメーカーなどに見積もりを取り購入します。この際、二社以上に見積もりをとってより安い金額の提示した方の材料を購入することが多いです。

より安い価格で購入することで工事で使える金額に余裕が出て利益確保や外注金額を増やしてあげたりすることができるからです。また、メーカーから正しく商品が納品されているかの検品を行います。(個数、寸法、型番など)

金の管理

」が動けばお金がかかります。「」を購入するとお金がかかります。工事をするためには利益を出さなければいけません。そのため、「実行予算書」または単に「予算書」と呼ばれる書類を作成し、「この工事を行うことで利益を出せます」ということを会社に明示します。

当然、予算だけではなく実績としてお金の流れを計算する必要があります。自分たちの給料を自分たちが請け負った工事金額の中から捻出する必要があるので外注契約費+自分たちの給料+材料費+雑費を引いた上で利益を出していきます。

具体的な元請の業務内容

✔️人の管理

✔️物の管理

✔️金の管理

人、物、金を管理してより詳細な業務内容をかいつまむと下記のようになります。※一例で全ての業務を書き切れていません。

✔️人の管理:外注契約、残業、作業員の工数

✔️物の管理:購入、受入、検品、在庫管理

✔️金の管理:予算書、外注費、材料費、給料

✔️安全管理:現場巡回、KYM

✔️工事管理:進捗、現場巡回、社内打合わせ

✔️事務処理:図面作成、契約書作成

✔️竣工処理:竣工検査、工事実績と利益報告

通信建設業界の作業内容|二次請け以降

元請けが現場の段取りを整えた上で現場の作業を行います。

✔️作業責任者

✔️作業者

どちらも現場作業をしますが作業責任者は現場の品質や安全、効率を考えた上で現場を回していきます。元請の施工管理者と二次請けの作業責任者が現場の打合わせをして作業責任者が作業者に指示を出していくような流れです。

作業責任者|現場作業・現場調整・書類作成

✔️品質

✔️安全

✔️効率

品質・安全・効率を考えながら作業をします。

作業責任者のスキルによって現場の仕上がり具合が全く違うので「品質」、「安全」、「効率」が担保されると元請から信頼につながり仕事が増えます。

また、現場に出ていながら複数の班を管理して進捗を追う必要があります。現場の進捗によって班の人員を進捗が遅れている案件に寄せたり、空いた班が出ないように仕事の入れ込みなど現場以外の調整作業も多いです。

元請けに見積もり書を求められた場合、大抵作業責任者が作成を行い、外注契約で図面設計などが盛り込まれていた場合、作成する必要があったり作業責任者もめちゃくちゃ大変だったりします。※一例で全ての業務を書き切れていません。

✔️現場作業員の指示

✔️現場作業の段取り

✔️現場作業の安全管理

✔️現場作業の品質管理

✔️現場作業の工程把握

✔️元請に見積もり作成

✔️図面作成

✔️品質、効率の改善

作業者|現場作業

現場作業責任者の指示の元作業をしていきます。

現場作業は意図しない、指示外の作業を行った際に発生することが多いので作業責任者の指示を守ることが大切です。

まとめ:通信建設業は通信インフラを担うとても大切な仕事

✔️一般的な建設業と異なり家やビルを建築するのではなく通信設備工事を行う

✔️主要な会社は日本コムシス、協和エクシオ、ミライト

✔️元請けは直接現場工事はせず段取りを整えたり、スケジュール管理などを行う

✔️人、物、金をコントロールしどれか一つでもかけると工事は進まない

通信建設業界は通信インフラを担う大切な仕事ですので日々感謝です。

補足:通信建設業界を知るための本の紹介

通信業界の業界用語や動向が書かれている本です。NTTや総務省の情報ソースでトラフィック量の今後だったり、FTTH、MVNOなど固定通信、移動通信問わず、ざっくり通信業界の動きがわかるのでおすすめ。

通信キャリア向けですが、通信キャリアの動きを知るとそれに付随して工事が発注され動くので知っておいて損はないです。