通信建設業界で働きたいと考えている方向けに「この資格を取得すると有利になる」というのを紹介しています。
「工事担任者」という資格は通信建設業界に勤めるためにはほぼ必須の資格で、「工事担任者」を取得すると就活・転職の際にアピールできます。
工事担任者ってどんな資格なの?工事担任者を取得するためにはどれくらい勉強時間が必要なんだろう?
工事担任者の勉強法やおすすめの参考書を知りたい。工事担任者を取得後にどんな資格を目指していけばいいの?
上記、四点を「工事担任者」を取得している運営者が実際の体験談をもとに解説できればと思います。
解説していきます。
工事担任者ってそもそもどんな資格なの?
電気通信回線と端末設備などを接続するために必要となる資格です。
簡単に言うと「LANケーブル作成する」、「LANケーブルを通信設備に接続する」といった作業をするときに必要になります。
LANケーブルを作成するのに、資格が必要なんですか?誰でもできるものかと思っていました。
個人使用なら資格がなくてもOKなのですが、工事として作成する場合には「工事担任者」の資格が必要です。
工事担任者とは
「工事担任者」はアナログ電話回線やデジタルデータ回線などに様々な端末設備などを接続する工事を行い、あるいは監督をする役割を担っています。
電気通信事業者・企業の回線に対し以下を実施
・PC接続
・IP電話機接続
・OA機器接続
・IP-PBX接続
・構内通信ネットワーク配線工事
簡単に説明すると企業の通信工事をする場合に所持が求められます。
家庭内の回線に対し以下を実施
・端末設備(ONU)に光ファイバーなどを接続
ONUってなんですか?
光ファイバ上の伝送信号と、電話等の各種端末機器に対応した伝送信号間の変換を行う装置のことです。よくフレッツ光やNURO光の宅内に置かれる装置のこと。
「工事担任者」はこれからの情報通信ネットワーク社会を支えるネットワーク接続技術者として期待され、その活躍の場はますます広がってきています。
コロナでテレワークが主流になりつつある現在では、通信インフラの大切さや重要性を感じています。
通信ケーブルを取り扱う工事全般で必要とされる資格です。
この資格を持っていないと作業そのものができない。
または作業責任者が持っていて、その監督のもとでしか作業ができないので「持つ」ことに意味がある資格です。
資格の科目と合格基準や受験時期
試験科目は3科目あり、全て60%以上の正答で合格です。
・基礎
・技術及び理論
・法規
※一定の資格又は実務経験を有する場合、申請により免除される科目があります。
受験時期は年2回:5月と11月で種別がAI第1種〜3種、DD第1種〜3種、そしてAI・DD総合種があります。
科目免除があるのはありがたいですね。
難易度ってどれくらい?
合格率が「AI・DD総合種が18.5%」と2割を下回るほどですが、工事管理をされる方であればAI・DD総合種を取得するのが基本となります。
18.5%って結構難易度高いように感じます。ちなみに工事管理をされる方とはどんな方が当てはまるのですか?
いわゆる通信建設業界の元請会社と呼ばれる人たちのことです。
受験者のボリュームが多いAI第3種、DD第3種では合格率が40%を超えています。また、科目合格が3年間有効及び1日で複数の種別を受験できることから難易度は合格率ほど難しくありません。
コツコツ科目合格を狙うもよし、同日に複数受験をするもよしで合格までのアプローチが広いことが特徴です。
受験者としてAI第3種、DD第3種が多い理由としては業界の入り口だからというところで合格後、総合種やAI第1種、DD第1種に向けてステップアップしていきます。
なるほど。最終的には総合種を取得することが目標で順番にとっていけばいいかもなんですね。
工事担任者のおすすめ参考書
工事担任者を取得するにあたりはずせないのが参考書選びです。どんな参考書を選べばいいかを紹介しています。
ここではより、需要のある下記の工事担任者種別についてまとめています。
- 工事担任者:AI・DD総合種
- 工事担任者:DD1種
- 工事担任者:DD3種
工事担任者2020春AI・DD総合種実戦問題
お品書き
「基礎」「技術・理論」「法規」の各科目ごとに出題分析ページを設け、前回の出題傾向を個別の問題レベルまで掘り下げて分析しています。
このため、合格を意識したより具体的な受験対策と、無駄のない効率的な学習を実践することができます。
総合種を受験するときに鉄板の参考書です。
工事担任者2020年版DD1種実戦問題
Amazonレビュー
本書の問題をすべて最低3回は解き、解説をきちんと読むことで合格に必要な力が付きます。
私はこの本を丁寧に仕上げたところ、本番の試験で8割以上を得点することができました。
本書の解説が理解できないとか網羅的な参考書が欲しい場合はリックテレコムの標準テキストがあります。
標準テキストと本問題集をしっかり確実に仕上げれば工事担任者DD1種合格はまず間違いないです。
レビューも高評価で良本ですね。
工事担任者2020年版DD3種実戦問題
お品書き
最新試験問題と予想問題で万全の対策ができます。
前回(2019年11月24日)の試験で出題された試験問題に1問ずつていねいな解説を付し、見開きページで簡潔にまとめました。
さらに、出題傾向に即した予想問題を実際の試験と同形式で多数収録し、実力がしっかりと身に付く充実した解説を掲載しています。
過去問の解説ベースの参考書です。解説も丁寧ですのでわかりやすいかなと感じました。
電気通信工事担任者法規試験対策 改訂9版
お品書き
工事担任者資格者証取得試験における「法規」科目の試験対策を目的としています。改訂に際し、近年の条文改正を反映することに加え、出題回数や状況を表で丁寧に示し、傾向に合わせた必須の演習問題も掲載しました。「確実な合格」に向けた知識を身に付けるための必読書となっています。
法規は改訂があったりすると、ルールが変更されていたりするので常に最新版を持っておきたいところです。
マスタリングTCP/IP―入門編―(第6版)
Amazonレビュー
ネットワークまわりは意外と複雑で、その全体像を把握しようとすると結構な量の知識を必要とします。本書は入門編と書かれており、たしかに内容は入門的な内容なのですが、全体像の説明をするためにこの大きさと厚さになっているのだと思います。
書かれていることの一つ一つはさほど難しくはないので、本書を丁寧に何回も読み進めていけば、ネットワークの複雑な全体像を把握できるようになると思います。
情報系の大学や専門学校で使用されている鉄板の参考書です。入門編でめちゃくちゃわかりやすいのに、中身は深いです。
参考書に関して補足
定番のリックテレコム社のテキストがおすすめです。我流で勉強するのではなく、テキストを準備した上で学習することが基本。
なぜ我流で勉強するとダメなのですか?
効率が悪いし、知識体系が偏るから推奨できません。
受験する資格の種類に応じて最新版のテキストを購入することがベター。というのも、法律が改訂されることがあり「ルールがいつの間にか変更され問題を落としてしまう危険」があるからです。
また、補足で「マスタリングTCP/IP」というテキストを推奨します。
直接「工事担任者」とはあまり関係がないのですが、上位資格となる「電気通信主任技術者」の取得を考えている方にとってはこの段階で購入をしてネットワークやプロトコルについて学習をしておくと楽です。
工事担任者取得までの勉強計画
冒頭で、運営者もこの資格を受験しまして、その時の体験談をお話しします。
取得を目指した理由は「就職活動を有利に立ち回りたい」と考えたからです。
結構ありきたりな理由ですね(笑)
工事担任者の情報収集から開始
情報収集リスト
・合格までどれくらいの勉強時間が必要?
・どんな参考書を元に勉強を進めるべきか?
・過去問がどれくらい使い回されているか?
・受験種別は一番難しい「AI・DD総合種」
ちなみに運営者のバックグラウンドとしては大学で電気、通信、情報を専攻中、取得を目指した段階で通信・電気の資格は持っていないという感じでした。
インターネットで調べると勉強時間が素人でも100h前後が多かったのでとりあえず100hを目標に設定。
3科目×30h+調整=100h
過去問中心で「合格を目指すだけ」なら丸暗記スタイルで対応ができるという検索結果だったので反復メインの勉強方法に設定。
工事を許可するための資格だから、難しずぎるとそもそも本末転倒になっちゃうから、ある程度暗記でも対応できるのですね。
参考書は定番の「リックテレコム」の最新版を購入してやり込む。
勉強場所は講義の空きコマや図書館を利用。日平均で3h/日で1ヶ月ほどの準備期間で受験に挑戦する勉強計画立てました。
まとめるとこんな感じ。
勉強計画
・勉強期間:1ヶ月
・勉強時間:100h
・勉強場所:大学の空きコマ・図書館
・勉強法:参考書+過去問
・参考書:リックテレコム
過去問中心の勉強と学習中に感じたこと
①参考書を読み込んで理解
②ざっくり目を通して過去問を行う
③理解できなければググる
上記の繰り返し。
記憶の定着するにはコツコツ積み上げをすることが大切と考えていて、3回ほど反復。大まかな背景が掴めてきて「これはいける」と手応えを感じていました。
また、過去問を見る限り難しい「計算問題」や「時間をかけて思考力を問う問題」は出題されておらず、計算問題も「呼損率の計算」なのでパターンを反復し自分の身に染み込ませていきました。
パターン反復練習が結局のところ大切なのですね。
そもそも作業者や監督向けの資格なので、「難しくしすぎたら誰も合格できず、業界が先細るだろ!」と強気な感じで自分は絶対合格できるとモチベを上げていました。
試験結果と実際の勉強時間
試験結果
・試験結果:合格
・内訳:基礎74 技術及び理論60 法規80
・実際の勉強時間:100h
技術及び理論がギリギリでしたが一発合格することができました。
技術及び理論がギリギリなので危なかったです。もう少し余裕みて勉強時間を確保したほうが良いかもです。
工事担任者は就職・転職に有利に働くの?
有利になります。
資格とった甲斐がありましたね。
経験上、新卒であればこの資格を持っていると「通信建設業界に興味あります!そのために工事担任者を取得しました」と大きくアピールできるので書類選考が非常に通りやすくなりました。
https://sakitablog.com/communication-construction-job4/転職をする場合だと「工事担任者」をベースに管理者向けの「電気通信主任技術者」・「電気工事士」・「消防設備士」といった資格を複合させることで需要がさらに高まります。
こちらも実体験上、上記の資格を所持しており、書類選考で落とされることはほぼありませんでした。
- 転職別・年齢別・学歴別の年収データ(200万人以上)を全て公開
- あなたが比較したい仕事と自分の年収を比較でき、7万人の転職実績データから、本当の市場価値を見出す
- 今求められているスキルや経験だけを質問するのでとても効率的
工事担任者をベースに他の資格を取得
推奨する資格
・電気通信主任技術者
・電気工事士
・消防設備士
「電気通信主任技術者」は「工事担任者」の上位資格になるので、特におすすめです。また通信と電気は密接に関係しているため「電気工事士」・「消防設備士」も並行して取得することを推奨します。
まとめ:工事担任者は100hで取得可能
・工事担任者資格がないと「通信ケーブルを作成」・「端末設備に接続」ができない
・工事担任者の資格は「持つ」ことに意味がある資格
・工事担任者の資格区分は細かく分けられているが最終的には「AI・DD総合種」を取得することを目標にすべき
・工事担任者をもとに電気・通信など他の資格を組み合わせることでキャリアアップに繋がる
上記の通り。実体験をもとにすると勉強時間100hで十分取得ができるので通信知識の土台としてもおすすめの資格になります。以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。参考になれば幸いです。